9月9日、美唄市の「日本理化学工業㈱美唄工場」と「社会福祉法人 北海道光生会」を訪問しました。
「日本理化学工業」は、学校で使うチョークのメーカーです。粉の出ない「ダストレスチョーク」の製造では国内シェア第1位の有力企業ですが、その製造現場を支える従業員の7割が知的障がい者であるという会社です。
工場は全国に2つあるそうですが、今回はそのひとつ、美唄工場にお邪魔しました。美唄工場の従業員は28名。そのうち、重度知的障がいの方が8名、軽度知的障がいの方が15名だそうです。
工場長の西川様よりお話をうかがいました。
昭和35年に2名の養護学校の生徒さんを雇用されたときのいきさつ、そのお二人が「やりがい」を求めて毎日懸命に頑張ってくれたこと、その姿に周りの従業員らも感化され、現場の士気が高まったこと。それ以来、美唄工場では、「字」も、「時計」も読めない障がい者が存分に働けるよう、様々な工夫を重ねてこられたこと。
「障がいのある従業員をクビにしない。
できないのは本人の責任ではなく、指導する会社側の問題である。」
西川工場長はさらりとお話になりますが、半世紀にわたり障がい者の雇用を続け、定年を超えても働き続ける方が少なくない会社は全国的にも稀有でありましょう。給料も、ボーナスも、健常者の「世間並み」の水準を保てるのは、①高い競争力をもつ優良製品を開発しながら、②障がいのある従業員にも一定の品質、作業効率を出せるよう、生産現場に様々な工夫を凝らしてこられた経営手腕、努力の結晶です。
工場を見学させていただきました。場内には、お話にあった、どんな人にもわかりやすい「砂時計」、「色のついたおもり」、「ノルマ達成リング」などなど、従業員にやさしい工夫が盛りだくさん。それに応える従業員の作業の速さもピカイチで、どの方も一生懸命お仕事されている様子が素敵でした。
「社会福祉法人 北海道光生会」は、美唄市内で「入所施設」、「グループホーム」、「就労継続A型・B型」事業所などを運営しています。当日はまず、日本理化学工業㈱の美唄工場から車で5分くらいのところにある「爽やかネットワーク」(多機能一体型事業所)、をお訪ねしました。
「爽やかネットワーク」では、食堂をお借りして、こちらの就労継続B型事業「べんとう家さしすせそ」のおいしいお弁当をいただきながら(「美唄の鶏肉料理が食べたい!」というリクエストにも快くお応えいただき、から揚げの味噌だれと、とりめしが入っていました)、法人の概要についておうかがいしました。
法人は、昭和39年の美唄学園(障がい児入所施設)設立に合わせてスタートし、現在は美唄市の障がい者をサポートする各種事業に一体的に取り組まれています。
なかでもグループホームは31か所に上り、約160名の方々の日々の暮らしを支えています。
そこには、結婚している方も11組おられました。あちらこちらで見学者が漏らす「おおぅ」という感嘆の声が、施設の印象を物語っています。所帯を持たれた利用者さんのサポートも、法人内で対応されています。
昼食後は、隣の棟(就労継続B型)での、そば殻・パイプビーズ枕製造、精米、米加工等を見学し、次に「南美唄福祉工場」(就労継続A型)にお邪魔しました。もともと民間の工場であったのを光生舎が平成8年に引き継ぎ、家庭用、ホテル用ベットマットレスとフレームの製造をしています。
当日は見学時間が少なくなってしまい、マットレスの工場内を早足にて見せていただきました。
工場内は大きな機械が多数あるなか、もくもくと作業されている従業員の方がた。機械の修理や調整も長年携わるなかで出来るようになった方もおられるそうです。
この方たちが製造したアンデルベットは、道内のホテルは勿論、全国にも使われてきています。ホテルからの注文を請け負うと、真っ先に従業員に知らせるそうです。
そして、納品はできる限り従業員とともに届け、自分たちが作ったベッドが、どのような所で利用されているのか見てもらうようにしています。そういったことで、従業員ひとりひとりが、意識を高く持ち、より良い商品作っているのでしょう。
美唄市は、札幌からJRで30分、車では1時間の距離にあります。このような福祉に厚い環境を知ることができ、本当に実のある見学会でした。
参加者 28名